ブルーチーズの入門にぴったりの歴史の古いチーズ「フルム・ダンベール」
緑豊かなフランスの山岳地帯である、オーヴェルニュ地方の厳しい風土の中で生まれた「フルム・ダンベール」は、古いプロバンス語の「チーズ」を意味する「Fourme」がチーズの名に残っています。
紀元前1世紀頃からつくられていたと言われる、歴史の古いチーズです。
フルム・ダンベールの形状
平べったい円盤形のチーズが多い中、この「フルム・ダンベール」は直径13cm、高さ20cmの背が高い円筒形をしています。
一般的に、日本のお店では、日本では半月型などにスライスされていたり、4分の1にカットされてパック詰めされて売られることが多いので、あまり丸の筒状のままの姿を見かけることはありません。
外皮には白っぽい色をしていたり、赤みがかったカビが生えていますが、体には無害です。中は黄色です。 きめが細かく、滑らかな舌触りで、品の良い青カビの刺激が余韻として残ります。
ブルー・チーズの中でも評価が高く、バランスのとれた味わいから「高貴なブルー」と呼ばれています。
フルム・ダンベールの味
ブルーチーズの入門に、最適な一品ともいえます。
中は青カビがみっしりと生えていますが、その外見とは裏腹に青カビ独特のピリッとした刺激は少なく、塩味もマイルドで、脂肪分のねっとりとした食感もあり、ミルク由来の甘さも感じます。
青カビタイプのチーズにしては、比較的、穏やかな味わいで、青カビタイプチーズが苦手な人でも、食べやすいチーズです。
このマイルド感から、日本でもロックフォールと人気を二分する存在です。
▽こちらは、部屋の照明の関係で少し赤身がかっていますが、実際は、青いです。
▽こちらのプレートの真ん中のものが、 「フルム・ダンベール」です。
バケットの上にこのチーズをのせて、上からハチミツをかければ、ちょっとリッチな朝ごはんになります。
フルム・ダンベールの詳細
原産国/地方 | フランス/オーヴェルニュ |
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風味 | しっとりとした生地で比較的穏やかな味。ワイン党を中心に人気が集まっている。 |
食べやすさ | ★★★★☆ |
旬 | 春・夏・冬 |
乳の種類 | 牛 |
乳脂肪分 | 50% |
よく合うドリンク | フルーティでコクのある赤ワイン。クリュ・ボジョレー。 |
よく合うフード | 黄桃と一緒にデザートとして。滑らかな味わいがベスト・ハーモニー。 |
古代ローマ時代から作られていた
フルム・ダンベールは古代ローマ時代から作られていた、という伝説があります。
実はこのチーズ、フォレ山脈をはさんで2つの町で、ほんのわずかに製作工程が違うだけで同じものがつくられているのですが、 西側で作られたものを 「フルム・ダンベール」、 東側で作られたものを 「フルム・ド・モンブリゾン」と呼んでいます。
かつては2つとも「フルム・ダンベール」と呼ばれていましたが、お互いに「わが町の製作工程で作られたチーズこそ本物」と譲らなかったので、名前がわけられたとか。
「フルム・ド・モンブルソン」も美味しいチーズですが、「フルム・ダンベール」に比べて製造量が10分の1ほどしかないので、なかなか手に入れにくいです。
見つけたら、ぜひ食べてみたいチーズです。
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